「デュアルキャリア・カップル」を読んだ
デュアルキャリア・カップル #27
デュアルキャリア・カップル読んだ。
共働きのカップルには3つの転換点が存在するという調査内容についての書籍。
著者自体が調査してるので、結構内容が濃い感じで面白かった。
第一の転換期は、子供 or キャリアチャンスで訪れることが多い。
このとき、短期的な経済基準で移住や離職などをすると片方の将来性に負荷がかかるため、経済バランスが崩れて戻すのが難しくなる。
復職しても37パーセントの収入減が待っている(4)。子育ての真っ只中にいるときには、乳幼児期はひどく長いように感じられるが、40余年のキャリア全体からすればその割合はほんのわずかだ。一方、離職することによる経済的な損失の合計は生涯で100万ドル以上にのぼると、さまざまな研究で算出されている。
カップルでどちらキャリアを優先するかが問題になるけど(これが一つ目の転換点)、
- 一番手・二番手モデル(最初にどっちが優先なのかを決める)
- 交代制モデル(途中で役割を交代する)
- 二人とも一番手モデル(両方とも一番優先度が高い!)
という3つのモデルだと、両方とも同じ優先度の二人とも一番手モデルが一番満足度が高いという調査結果になったという話。
これは簡単ではないけど、二人とも一番手モデルをできているところは、オープンに話し合っていけるプロセスの存在がこの調査結果につながっているんじゃないという話とか面白かった。(大事なのは結果じゃなくて過程だよって話がちょこちょこあった)
キャリア<->カップルには依存関係にあるため、そこの依存関係を認めて整理しないと、いずれ問題が起きる(第一の転換点)。
また、第一の転換点で決めたバランスは時間で変化するため、それを放置すると依存関係が崩壊する(第二の転換点)。
時が経過して依存関係が崩れた時(定年、子供の巣立ち)に目標を見失うことがあり、自己発見と刷新に取り組む必要が出てくる(第三の転換期)。
少しサンプルに偏りを感じた(全員大卒みたいな所)けど、まだメタアナリシスできるほど研究が進んでない分野なんだろなと思った。
(ちょっと意外ではあるけど、二人とも一番手モデルが実際に行われるようになったのは近年だからなんだろなー)
著者自身がインタビュー調査してるので、研究手法についても最後の方に書かれて面白かった。
- 無作為抽出はできないので、「理論的サンプリング」を原則としている
- インタビューデータの分析は、「継続的比較法」でグラウンデッド・セオリー・アプローチを使ってる
- サンプルがデュアルキャリアかどうかは履歴書でリファレンスを取っている
グラウンデッド・セオリー・アプローチ 改訂版を読んだことあったので、実際の研究はこんな感じでやってるのかーとわかってよかった。