-
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性,課程や学科の特色及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。
-
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。
-
(1) 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図り ながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。
-
(2) 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。 学校における道徳教育は,人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことによりその充実を図るものとし,各教科に 属する科目(以下「各教科・科目」という。),総合的な探究の時間及び特別 活動(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの特質に応じて,適切 な指導を行うこと。道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基 づき,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基 づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し,人間としての在り方生き方 を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよ く生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念 を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心を もち,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。
-
(3) 学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊 かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校 における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び 心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科,家庭科及び特 別活動の時間はもとより,各教科・科目及び総合的な探究の時間などにおい てもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また,それらの指 導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。
-
-
3 2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指 すに当たっては,学校教育全体及び各教科・科目等の指導を通してどのような 資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図るもの とする。その際,生徒の発達の段階や特性等を踏まえつつ,次に掲げることが 偏りなく実現できるようにするものとする。
- (1) 知識及び技能が習得されるようにすること。
- (2) 思考力,判断力,表現力等を育成すること。
- (3) 学びに向かう力,人間性等を涵養すること。
-
4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアに関わる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする。
-
5 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。
1 各学校の教育目標と教育課程の編成教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科・科目等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第4章の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする。
- (1) 各学校においては,生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科・科目等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
- (2) 各学校においては,生徒や学校,地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し,豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を生かした教育課程の編成を図るものとする。
- (1) 各教科・科目及び単位数等
各学校においては,卒業までに履修させるイからオまでに示す各教科・科目及びその単位数,総合的な探究の時間の単位数並びに特別活動及びその授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科・科目及び総合的な探究の時間の単位数の計は,(2)のア,イ及びウの(ア)に掲げる 各教科・科目の単位数並びに総合的な探究の時間の単位数を含めて74単位以上とする。単位については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。ただし,通信制の課程においては,5に定めるところによるものとする。
各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及び総合的な探究の時間並びにそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び総合的な探究の時間並びにそれらの単位数について適切に定めるものとする。ただし,生徒の実態等を考慮し,特に必要がある場合には,標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。
教科等 | 科目 | 標準 単位数 |
---|---|---|
国語 | 現代の国語 言語文化 論理国語 文学国語 国語表現 古典探究 |
2 2 4 4 4 4 |
地理歴史 | 地理総合 地理探究 歴史総合 日本史探究 世界史探究 |
2 3 2 3 3 |
公民 | 公共 倫理 政治・経済 |
2 2 2 |
数学 | 数学I 数学II 数学III 数学A 数学B 数学C |
3 4 3 2 2 2 |
理科 | 科学と人間生活 物理基礎 物理 化学基礎 化学 生物基礎 生物 地学基礎 地学 |
2 2 4 2 4 2 4 |
保健体育 | 体育 保健 |
7~8 2 |
芸術 | 音楽I 音楽II 音楽III 美術I 美術II 美術III 工芸I 工芸II 工芸III 書道I 書道II 書道III |
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 |
外国語 | 英語コミュニケーションI 英語コミュニケーションII 英語コミュニケーションIII 論理・表現I 論理・表現II 論理・表現III |
3 4 4 2 2 2 |
家庭 | 家庭基礎 家庭総合 |
2 4 |
情報 | 情報I 情報II |
2 2 |
理数 | 理数探究基礎 理数探究 | 1 2~5 |
総合的な探究の時間 | 3~6 |
各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設 される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ, 生徒に履修させる各教科・科目及びその単位数について適切に定めるもの とする。
教科 | 科目 |
---|---|
農業 | 農業と環境,課題研究,総合実習,農業と情報, 作物,野菜,果樹,草花, 畜産,栽培と環境,飼育 と環境,農業経営,農業機械,植物バイオテクノロジー,食品製造,食品化学,食品微生物,食品流通,森林科学,森林経 営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造園施工管理,造園植栽,測量,生物活用,地域資源活用 |
工業 | 工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業情報数理,工業材料技術,工業技術英語,工業管理技術, 工業環境技術,機械工作, 機械設計,原動機,電子機械,生産技術,自動車工 学,自動車整備,船舶工学, 電気回路,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路, 電子計測制御,通信技術, プログラミング技術,ハー ドウェア技術,ソフトウェ ア技術,コンピュータシス テム技術,建築構造,建築 計画,建築構造設計,建築 施工,建築法規,設備計画, 空気調和設備,衛生・防災 設備,測量,土木基盤力学, 土木構造設計,土木施工, 社会基盤工学,工業化学, 化学工学,地球環境化学, 材料製造技術,材料工学, 材料加工,セラミック化学, セラミック技術,セラミック工業,繊維製品,繊維・ 染色技術,染織デザイン,インテリア計画,インテリア装備,インテリアエレメント生産,デザイン実践,デザイン材料,デザイン史 |
商業 | ビジネス基礎,課題研究, 総合実践,ビジネス・コ ミュニケーション,マーケティング,商品開発と 流通,観光ビジネス,ビジネス・マネジメント,グローバル経済,ビジネス法規,簿記,財務会計 I,財務会計II,原価計算,管理会計,情報処理, ソフトウェア活用,プログラミング,ネットワーク活用,ネットワーク管理 |
水産 | 水産海洋基礎,課題研究, 総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作, 電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源 増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造, 食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ |
家庭 | 生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活保育基礎,保育実践,生活と福祉,住生活デザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品, 食品衛生,公衆衛生,総合調理実習 |
看護 | 基礎看護,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと回復の促進,健康支援と社会保障制度,成人看護,老年看護,小児看護,母性看護,精神看護,在宅看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報 |
情報 | 情報産業と社会,課題研究, 情報の表現と管理,情報テ クノロジー,情報セキュリ ティ,情報システムのプロ グラミング,ネットワーク システム,データベース, 情報デザイン,コンテンツ の制作と発信,メディアと サービス,情報実習 |
福祉 | 社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解, 福祉情報 |
理数 | 理数数学I,理数数学II,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学 |
体育 | スポーツ概論,スポーツI,スポーツII,スポーツIII,スポーツIV,スポーツV,スポーツVI,スポーツ総合演習 |
音楽 | 音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞,研究 |
美術 | 美術概論,美術史,鑑賞研究,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形 |
英語 | 総合英語I,総合英語II,総合英語III,ディベート・ディスカッションI,ディベート・ディスカッションII,エッセイライティングI,エッセイライティングII |
学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,イ及びウの表に掲げる教科について, これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設け ることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,内容, 単位数等については,その科目の属する教科の目標に基づき,高等学校教 育としての水準の確保に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。
- (ア) 学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,イ及びウの表に掲げる教科以外 の教科(以下「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を 設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に 関する科目の名称,目標,内容,単位数等については,高等学校教育の 目標に基づき,高等学校教育としての水準の確保に十分配慮し,各学校 の定めるところによるものとする。
- (イ) 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」 を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校にお いて定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意 欲や態度を養うとともに,生徒の主体的な各教科・科目の選択に資する よう,就業体験活動等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次の ような事項について指導することに配慮するものとする。
- ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
- イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
- ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
- (ア) 全ての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,(1)のイに標準単位数として 示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学 科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「数学I」及び「英語 コミュニケーションI」については2単位とすることができ,その他の 必履修教科・科目(標準単位数が2単位であるものを除く。)についてはその単位数の一部を減じることができる。
- ア 国語のうち「現代の国語」及び「言語文化」
- イ 地理歴史のうち「地理総合」及び「歴史総合」
- ウ 公民のうち「公共」
- エ 数学のうち「数学I」
- オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人 間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び 「地学基礎」のうちから3科目
- カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
- キ 芸術のうち「音楽I」,「美術I」,「工芸I」及び「書道I」のうちから1科目
- ク 外国語のうち「英語コミュニケーションI」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
- ケ 家庭のうち「家庭基礎」及び「家庭総合」のうちから1科目
- コ 情報のうち「情報I」
- (イ) 総合的な探究の時間については,全ての生徒に履修させるものとし,その単位数は,(1)のイに標準単位数として示された単位数の下限を下らないものとする。ただし,特に必要がある場合には,その単位数を2単位とすることができる。
- (ウ) 外国の高等学校に留学していた生徒について,外国の高等学校における履修により,必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修と同様の成果が認められる場合においては,外国の高等学校における履修をもって相当する必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができる。
- イ 専門学科における各教科・科目の履修 専門学科における各教科・科目の履修については,アのほか次のとおりとする。 (ア) 専門学科においては,専門教科・科目((1)のウの表に掲げる各教科・科目,同表の教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設 定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,全ての生徒に履修 させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,商業に関する学科に おいては,上記の単位数の中に外国語に属する科目の単位を5単位まで 含めることができること。また,商業に関する学科以外の専門学科にお いては,各学科の目標を達成する上で,専門教科・科目以外の教科・科 目の履修により,専門教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合 においては,その専門教科・科目以外の教科・科目の単位を5単位まで 上記の単位数の中に含めることができること。 (イ) 専門教科・科目の履修によって,アの必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもっ て,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。 (ウ) 職業教育を主とする専門学科においては,総合的な探究の時間の履修 により,農業,工業,商業,水産,家庭若しくは情報の各教科の「課題 研究」,看護の「看護臨地実習」又は福祉の「介護総合演習」(以下「課 題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては, 総合的な探究の時間の履修をもって課題研究等の履修の一部又は全部に 替えることができること。また,課題研究等を履修し,総合的な探究の 時間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,課題研究等の履 修をもって総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができること。
総合学科における各教科・科目の履修等については,アのほか次のとおりとする。
- (ア) 総合学科においては,(1)のオの(イ)に掲げる「産業社会と人間」を全ての生徒に原則として入学年次に履修させるものとし,標準単位数は2~4単位とすること。
- (イ) 総合学科においては,学年による教育課程の区分を設けない課程(以下「単位制による課程」という。)とすることを原則とするとともに, 「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上設け,生 徒が多様な各教科・科目から主体的に選択履修できるようにすること。 その際,生徒が選択履修するに当たっての指針となるよう,体系性や専 門性等において相互に関連する各教科・科目によって構成される科目群 を複数設けるとともに,必要に応じ,それら以外の各教科・科目を設け, 生徒が自由に選択履修できるようにすること。
- ア 全日制の課程における各教科・科目及びホームルーム活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目の授業を 特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業 日を設定する場合を含む。)に行うことができる。
- イ 全日制の課程における週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。 ただし,必要がある場合には,これを増加することができる。
- ウ 定時制の課程における授業日数の季節的配分又は週若しくは1日当たり の授業時数については,生徒の勤労状況と地域の諸事情等を考慮して,適 切に定めるものとする。
- エ ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間 以上とするものとする。
- オ 生徒会活動及び学校行事については,学校の実態に応じて,それぞれ適 切な授業時数を充てるものとする。
- カ 定時制の課程において,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動 の授業時数の一部を減じ,又はホームルーム活動及び生徒会活動の内容の 一部を行わないものとすることができる。
- キ 各教科・科目等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各 教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の 特質を考慮して適切に定めるものとする。
- ク 各教科・科目等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して 特定の各教科・科目等の指導を行う場合において,当該各教科・科目等を 担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該各教科・科目等の授業時数に含めることができる。
- ケ 総合的な探究の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲 げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探 究の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる 各行事の実施に替えることができる。
- コ 理数の「理数探究基礎」又は「理数探究」を履修し,総合的な探究の時 間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,「理数探究基礎」又 は「理数探究」の履修をもって総合的な探究の時間の履修の一部又は全部 に替えることができる。
教育課程の編成に当たっては,生徒の特性,進路等に応じた適切な各教科・科目の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒 が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課 程の類型を設け,そのいずれかの類型を選択して履修させる場合においても, その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・ 科目を履修させたり,生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目を設けたりするものとする。
- ア 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導すること ができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修する全ての生徒に対して指導するものと する内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場 合には,この事項にかかわらず指導することができる。ただし,これらの 場合には,第2章以下に示す教科,科目及び特別活動の目標や内容の趣旨 を逸脱したり,生徒の負担が過重となったりすることのないようにするも のとする。
- イ 第2章以下に示す各教科・科目及び特別活動の内容に掲げる事項の順序 は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校にお いては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
- ウ 学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な探究の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して 指導することができる。
- エ 学校においては,特に必要がある場合には,第2章及び第3章に示す教 科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし, 全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
- ア 各教科・科目等の指導内容については,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え, 第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通 して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。
- イ 各教科・科目等について相互の関連を図り,系統的,発展的な指導がで きるようにすること。
- ア 学校においては,第5款の1に示すキャリア教育及び職業教育を推進す るために,生徒の特性や進路,学校や地域の実態等を考慮し,地域や産業界等との連携を図り,産業現場等における長期間の実習を取り入れるなど の就業体験活動の機会を積極的に設けるとともに,地域や産業界等の人々 の協力を積極的に得るよう配慮するものとする。
- イ 普通科においては,生徒の特性や進路,学校や地域の実態等を考慮し, 必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保につ いて配慮するものとする。
- ウ 職業教育を主とする専門学科においては,次の事項に配慮するものとす る。
- (ア) 職業に関する各教科・科目については,実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
- (イ) 生徒の実態を考慮し,職業に関する各教科・科目の履修を容易にする ため特別な配慮が必要な場合には,各分野における基礎的又は中核的な 科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確 実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導 するなどの工夫をこらすようにすること。
- エ 職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
- (ア) 職業に関する各教科・科目については,就業体験活動をもって実習に 替えることができること。この場合,就業体験活動は,その各教科・科 目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画し,評価されるものであることを要すること。
- (イ) 農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクト並びに学校家庭クラブ及び学校農業クラブなどの活動を 活用して,学習の効果を上げるよう留意すること。この場合,ホームプロジェクトについては,その各教科・科目の授業時数の10分の2以内を これに充てることができること。
- (ウ) 定時制及び通信制の課程において,職業に関する各教科・科目を履修 する生徒が,現にその各教科・科目と密接な関係を有する職業(家事を 含む。)に従事している場合で,その職業における実務等が,その各教 科・科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるとき は,その実務等をもってその各教科・科目の履修の一部に替えることが できること。
教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階等間の接続を図るものとする。 (1) 現行の中学校学習指導要領を踏まえ,中学校教育までの学習の成果が高等学校教育に円滑に接続され,高等学校教育段階の終わりまでに育成すること を目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付けることができるよう工夫する こと。特に,中等教育学校,連携型高等学校及び併設型高等学校においては, 中等教育6年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。 (2) 生徒や学校の実態等に応じ,必要がある場合には,例えば次のような工夫 を行い,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。 ア 各教科・科目の指導に当たり,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること。 イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら,必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう,その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。 ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。
(3) 大学や専門学校等における教育や社会的・職業的自立,生涯にわたる学習のために,高等学校卒業以降の教育や職業との円滑な接続が図られるよう, 関連する教育機関や企業等との連携により,卒業後の進路に求められる資質 ・能力を着実に育成することができるよう工夫すること。
通信制の課程における教育課程については,1から4まで(3の(3),(4)並びに(7)のエの(ア)及び(イ)を除く。)並びに第1款及び第3款から第6款までに定めるところによるほか,次に定めるところによる。 (1) 各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。以下同じ。)数の標準は,1単位につき次の表のとおりとする。
各教科・科目 | 添削指導(回) | 面接指導(単位時間) |
---|---|---|
国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目 | 3 | 1 |
理科に属する科目 | 3 | 4 |
保健体育に属する科目のうち「体育」 | 1 | 5 |
保健体育に属する科目のうち「保健」 | 3 | 1 |
芸術及び外国語に属する科目 | 3 | 4 |
家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目 | 各教科・科目の必要に応じて2~3 | 各教科・科目の必要に応じて2~8 |
(2) 学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のものの添削指導の 回数及び面接指導の単位時間数については,1単位につき,それぞれ1回以 上及び1単位時間以上を確保した上で,各学校が適切に定めるものとする。 (3) 理数に属する科目及び総合的な探究の時間の添削指導の回数及び面接指導 の単位時間数については,1単位につき,それぞれ1回以上及び1単位時間 以上を確保した上で,各学校において,学習活動に応じ適切に定めるものと する。 (4) 各学校における面接指導の1回あたりの時間は,各学校において,(1)の 標準を踏まえた各教科・科目の面接指導の単位時間数を確保しつつ,生徒の 実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。 (5) 学校が,その指導計画に,各教科・科目又は特別活動について体系的に行 われるラジオ放送,テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習 を計画的かつ継続的に取り入れた場合で,生徒がこれらの方法により学習し, 報告課題の作成等により,その成果が満足できると認められるときは,その 生徒について,その各教科・科目の面接指導の時間数又は特別活動の時間数 (以下「面接指導等時間数」という。)のうち,10分の6以内の時間数を免 除することができる。また,生徒の実態等を考慮して特に必要がある場合は, 面接指導等時間数のうち,複数のメディアを利用することにより,各メディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができる。ただし, 免除する時間数は,合わせて10分の8を超えることができない。 なお,生徒の面接指導等時間数を免除しようとする場合には,本来行われるべき学習の量と質を低下させることがないよう十分配慮しなければならない。 (6) 特別活動については,ホームルーム活動を含めて,各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。なお,特別の事情がある場合には, ホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることが できる。
-
(1) 第1款の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で 深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。特に,各教科・科目等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思 考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして, 学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科・科目等の特質に 応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛え られていくことに留意し,生徒が各教科・科目等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精 査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考え を基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
-
(2) 第2款の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要 な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科・科目等の特質に 応じて,生徒の言語活動を充実すること。あわせて,(6)に示すとおり読書 活動を充実すること。
-
(3) 第2款の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において, コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要 な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また, 各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活 用を図ること。
-
(4) 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を, 計画的に取り入れるように工夫すること。
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(5) 生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよ う,各教科・科目等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連 携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
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(6) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話 的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自 発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館, 美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報 の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。 2 学習評価の充実 学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 (1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や 価値を実感できるようにすること。また,各教科・科目等の目標の実現に向 けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時間のまとまりを 見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指 導の改善や学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにするこ と。 (2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ 計画的な取組を推進するとともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成 果が円滑に接続されるように工夫すること。
- (1) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
- (2) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な探究の時 間を履修し,その成果が第4章の第2の1に基づき定められる目標からみて 満足できると認められる場合には,総合的な探究の時間について履修した単 位を修得したことを認定しなければならない。
- (3) 学校においては,生徒が1科目又は総合的な探究の時間を2以上の年次に わたって履修したときは,各年次ごとにその各教科・科目又は総合的な探究 の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数 を修得した者で,特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められる ものについて,高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒 業までに修得させる単位数は,74単位以上とする。なお,普通科においては, 卒業までに修得させる単位数に含めることができる学校設定科目及び学校設定 教科に関する科目に係る修得単位数は,合わせて20単位を超えることができな い。
学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。 第5款 生徒の発達の支援
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1 生徒の発達を支える指導の充実 教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
- (1) 学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよ い人間関係を育てるため,日頃からホームルーム経営の充実を図ること。ま た,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の 多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカ ウンセリングの双方により,生徒の発達を支援すること。
- (2) 生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図って いくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と関連付けながら,生徒 指導の充実を図ること。
- (3) 生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができ るよう,特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて,キャリア教 育の充実を図ること。その中で,生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に 進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ 計画的な進路指導を行うこと。
- (4) 学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め, その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるようにすること。
- (5) 生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に 身に付けることができるよう,生徒や学校の実態に応じ,個別学習やグルー プ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,生徒の興味 ・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を 取り入れることや,教師間の協力による指導体制を確保することなど,指導 方法や指導体制の工夫改善により,個に応じた指導の充実を図ること。その際,第3款の1の(3)に示す情報手段や教材・教具の活用を図ること。
- (6) 学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容 の取扱いなどについて必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,例えば義務教 育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど,指導内容や指導方法を工夫すること。
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2 特別な配慮を必要とする生徒への指導
- (1) 障害のある生徒などへの指導
- ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
- イ 障害のある生徒に対して,学校教育法施行規則第140条の規定に基づき,特別の教育課程を編成し,障害に応じた特別の指導(以下「通級による指 導」という。)を行う場合には,学校教育法施行規則第129条の規定により 定める現行の特別支援学校高等部学習指導要領第6章に示す自立活動の内 容を参考とし,具体的な目標や内容を定め,指導を行うものとする。その 際,通級による指導が効果的に行われるよう,各教科・科目等と通級によ る指導との関連を図るなど,教師間の連携に努めるものとする。なお,通級による指導における単位の修得の認定については,次のとおりとする。
- (ア) 学校においては,生徒が学校の定める個別の指導計画に従って通級による指導を履修し,その成果が個別に設定された指導目標からみて満足 できると認められる場合には,当該学校の単位を修得したことを認定し なければならない。
- (イ) 学校においては,生徒が通級による指導を2以上の年次にわたって履 修したときは,各年次ごとに当該学校の単位を修得したことを認定する ことを原則とする。ただし,年度途中から通級による指導を開始するな ど,特定の年度における授業時数が,1単位として計算する標準の単位時間に満たない場合は,次年度以降に通級による指導の時間を設定し, 2以上の年次にわたる授業時数を合算して単位の修得の認定を行うこと ができる。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
- ウ 障害のある生徒などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労 働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育 的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活用することに努める とともに,各教科・科目等の指導に当たって,個々の生徒の実態を的確に 把握し,個別の指導計画を作成し活用することに努めるものとする。特に, 通級による指導を受ける生徒については,個々の生徒の障害の状態等の実 態を的確に把握し,個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し,効果 的に活用するものとする。
- (1) 障害のある生徒などへの指導
- ア 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うものとする。
- イ 日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
- ア 不登校生徒については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は援助を得ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の生徒の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
- イ 相当の期間高等学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒等を対 象として,文部科学大臣が認める特別の教育課程を編成する場合には,生徒の実態に配慮した教育課程を編成するとともに,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。
- ア 各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に 役割を分担しつつ,相互に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュ ラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また,各学校が行う学校 評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ,カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。
- イ 教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,いじめの防止等のための対策に関する基本的な方 針など,各分野における学校の全体計画等と関連付けながら,効果的な指導 が行われるように留意するものとする。
- ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校 教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際, 学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係 団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制 が整えられるようにするものとする。
- ア 学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の 実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整え るなど,家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。また,高齢者や異 年齢の子供など,地域における世代を越えた交流の機会を設けること。
- イ 他の高等学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,中学校,特別 支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒 との交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し合いながら協働して生活し ていく態度を育むようにすること。
道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,第6款までに示す 事項に加え,次の事項に配慮するものとする。
- 1 各学校においては,第1款の2の(2)に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する 教師(「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を 展開すること。全体計画の作成に当たっては,生徒や学校の実態に応じ,指導 の方針や重点を明らかにして,各教科・科目等との関係を明らかにすること。その際,公民科の「公共」及び「倫理」並びに特別活動が,人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面であることに配慮すること。
- 2 道徳教育を進めるに当たっては,中学校までの特別の教科である道徳の学習等を通じて深めた,主として自分自身,人との関わり,集団や社会との関わり, 生命や自然,崇高なものとの関わりに関する道徳的諸価値についての理解を基 にしながら,様々な体験や思索の機会等を通して,人間としての在り方生き方 についての考えを深めるよう留意すること。また,自立心や自律性を高め,規 律ある生活をすること,生命を尊重する心を育てること,社会連帯の自覚を高 め,主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養うこと,義務を果たし責任 を重んずる態度及び人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする 態度を養うこと,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛 するとともに,他国を尊重すること,国際社会に生きる日本人としての自覚を 身に付けることに関する指導が適切に行われるよう配慮すること。
- 3 学校やホームルーム内の人間関係や環境を整えるととともに,就業体験活動 やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を 充実すること。また,道徳教育の指導が,生徒の日常生活に生かされるように すること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるように留意すること。
- 4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力 を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深めること。