給料―あなたの価値はまだ上がる/Fair Pay を読んだ #45
azu
announced in
Announcements
Replies: 0 comments
Sign up for free
to join this conversation on GitHub.
Already have an account?
Sign in to comment
-
by @azu #44
給料―あなたの価値はまだ上がるを読んだ。
原著はFair Pay: How to Get a Raise, Close the Wage Gap, and Build Stronger Businessesという書籍。
日本語のタイトルは給与交渉の話に見えるけど、実際に面白かった部分は報酬哲学や公平な給与をどう実現するかという話だった感覚がある。
なので、読んだ後に原著がFair Payというタイトルだったのみて納得した。
給料はあなたの価値なのかと合わせて読むと面白い本だと思う。
賃金を増加させた時の試算
アメリカで最低賃金を$15に上げるという運動があってその話から始まる。
このときに$1賃金を上げるとどういうコストがかかるかの計算式が面白かった。
一方で、最低賃金に変動があったからといって失業率が上がったり、物価が上がったりはしないという話。
実際の$15の戦いでもそういう結果になっていた。
誠意ある給与(Pay Sincerity)
この書籍で一番興味深いところだったかも。
給料はあなたの価値なのかでは、給与の透明性があると給料の格差(ジェンダーや色々な問題による格差)が減るという話があった。
一方で、透明性という言葉は開示だけで終わることがあり、そこに説明責任までは含まれないので、ガラスの天井のような問題は透明性があっても存在はすることがある。
これに対して、透明性を包含してるような概念として誠意ある給与(Pay Sincerity)という話が出てきた。
給与は一回きりの問題ではない(一度あげてそこで終わりではない)ため、継続的に話し合える環境そのものが大事だよねって話。
これ読んでいて、デュアルキャリア・カップルを思い出した。
デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越えるでは、カップルの人生には次の3つの転換点があるという話が出てくる。
第一の転換期は、子供 or キャリアチャンスで訪れることが多い。
このとき、短期的な経済基準で移住や離職などをすると片方の将来性に負荷がかかるため、経済バランスが崩れて戻すのが難しくなる。
短期的に処理すると取り返しがつかないので、長期的な合意にいたるまで話し合い、大きなライフイベントに慎重に対応する。
そうすることで、第二の転換期まで二人でたどれる道をつくる。
この話と “理想的な誠意ある給与” の話が結構似てるなーと思った。
報酬哲学
この報酬哲学の話面白かった
<会社名> Proxy <年数>
で検索というやつで、Proxy Statementは日本だと株主総会招集のやつ。これの取締役の報酬等の内容に係る決定方針あたりに書いてあるのでまず読んでみようねって話。
たとえば、株主総会招集 Yahoo - Google 検索で検索してみるとZ Holdingの2023年定時株主総会招集ご通知が出てくる
このPDFには”報酬ポリシー”という項目があって、ここに報酬哲学が書かれている。
大抵は役員報酬のポシリーになっている。
実際読むと大したことは書いてないんだけど、誠意ある給与(Pay Sincerity)を実現するには、これを公開するだけじゃなくて、知ってもらう状態にすることが大事という話が良かった。
法律が決まってるから公開されているんだろうけど、大体の人はそれすら知らないかもしれないので、知ってもらう状態になってより具体的な議論や行動が進む。
先ほども書かれていたけど誠意ある給与(Pay Sincerity)は一度きりのものじゃないので、継続的にやるにはトレーニングも必要という話があって、そのアイデアの話も面白かった。
一度きりじゃないのは、維持しようと思って維持しないといつの間にか簡単に変化してしまうことがあるという理由がありそう。
たとえば、企業を買収した場合は大体はその企業が元々も持っていた給与体系を継承してしまうだろうし、給料はあなたの価値なのかでいうところの”模倣”や”惰性”が働くので、いつの間にか影響を受けてしまうことがある。
その辺の公正な給与のトレーニングを実際やってるところってどれぐらいあるのか気になる。
ノルウェー
ノルウェーは納税申告書が情報公開されているため、給与の透明性という視点での先行研究となってるケースが多くて面白かった。
現在は匿名では見れなくなったり、商用利用はできなくなったりとか色々制限が入ったので、完全に自由には見れなくなってる。
けど、この自由に見れた時期でも賃金格差は完全にはなくなるわけじゃないという話(でも他の国に比べると格差がだいぶ小さい)
これは公開してるだけであるので、透明性があるだけの状態と言える。
誠意ある給与(Pay Sincerity)を実現するには、この透明性に加えて、公平な給与のためにはどういう修正が必要かという維持する体制も必要になるというのはこの辺から来てるのかなーと思った。
絶対値ではなく相対値の給与での満足
このノルウェーで面白かった研究。
この研究が色々面白い。
同等者と比較した結果に対しての満足度があるという話は、給与交渉というアクションに繋げるときに、自分が同等者のどのレベルでどのぐらいの給与をもらうのが一般的かという自身の位置を把握することの重要さとも繋がってる。
もう一方の経済的に不利な立場であるほど、給与の透明化には反対する傾向が強いという話も面白い。
これは書籍の最後にも出てきてたアーティストの話ともなんか似ている気がする。
質問することで改善する
情報の非対称が雇用主と従業員には発生するので、質問をしようという話が良かった。
この賢い質問というのが日本語訳のタイトルにきてるところなのかなー
原著はFair Pay: How to Get a Raise, Close the Wage Gap, and Build Stronger Businessesというタイトルで、自分が読んだ感想はどっちかというこのタイトルだった。
交渉
具体的にどう交渉するのかという話が結構書かれてた。
簡潔にまとめると自分の位置を知る、質問するという話だったと思う。
この位置の見つけ方が具体的に色々書かれて面白かった。
企業ベースのものと個人の申告ベースのサイトの違いとか、最近はLevels.fyiとかもデータとしての信頼性がだいぶ上がってるんだなーとか。
日本でもそういうのは増えていってる。
この辺の給与交渉のよくあるテクニック的な話もあった。
けど、そういうテクニック的な話の本として読むのはあんまり向いてない印象はある。
This discussion was created from the release 給料―あなたの価値はまだ上がる/Fair Pay を読んだ.
Beta Was this translation helpful? Give feedback.
All reactions