このレジスタは、カートリッジのアクセスタイミングを設定するために使用されます。
カートリッジのROMは 0x0800_0000
, 0x0a00_0000
, 0x0c00_0000
の3つのアドレス領域にミラーリングされており、これらの領域にCPUがアクセスするのに要する時間を WaitState0, WaitState1, WaitState2 と呼びます。
それぞれの領域に異なるアクセス時間を割り当てることができます。
WaitStateについてはこちらを参照してください。
bit | 内容 |
---|---|
0-1 | SRAM Wait Control (0..3 = 4,3,2,8 cycles) |
2-3 | N0 - WaitState0 ファーストアクセス (0..3 = 4,3,2,8 cycles) |
4 | S0 - WaitState0 セカンドアクセス (0..1 = 2,1 cycles) |
5-6 | N1 - WaitState1 ファーストアクセス (0..3 = 4,3,2,8 cycles) |
7 | S1 - WaitState1 セカンドアクセス (0..1 = 4,1 cycles) |
8-9 | N2 - WaitState2 ファーストアクセス (0..3 = 4,3,2,8 cycles) |
10 | S2 - WaitState2 セカンドアクセス (0..1 = 8,1 cycles) |
11-12 | PHI Terminal Output (0..3 = Disable, 4.19MHz, 8.38MHz, 16.78MHz) |
13 | 未使用 |
14 | カートリッジのプリフェッチが有効かどうか (0=無効, 1=有効) |
15 | Game Pak Type Flag (Read Only) (0=GBA, 1=CGB) (IN35 signal) |
16-31 | 未使用 |
WAITCNTは起動時には0x0000_0000です。
そしてその後、現在製造されているカートリッジでは WAITCNT=0x0000_4317=0b0000_0000_0000_0000_0100_0011_0001_0111
となります。これは
SRAM: 8サイクル
N0, N1, N2: 3, 4, 8サイクル
S0, S1, S2: 1, 4, 8サイクル
となります。 実際のカートリッジのアクセスにはこれに1サイクル加えたものがアクセスに要するサイクルになります。(SRAMはそのまま8サイクル)
また、カートリッジのデータバスは16bitなので、32bitアクセスは2回の16bitアクセスに分割されて行われます。 最初の16bitがノンシーケンシャルであっても、2回目の16bitは常にシーケンシャルです
注意: GBAはカートリッジROMの各128Kブロックの先頭にアクセスする際には強制的にノンシーケンシャルアクセスします。 またPHI端子出力(Gamepak BusのPHIピン)は無効にしてください。
最初のリセット後、BIOSはこのレジスタを0x01に初期化しリセットベクタ(0x000000)をさらに実行します。
このときレジスタがまだ0x01に設定されていることを感知すると、デバッグベクタ(0x0000_001c)に制御を渡します。
bit | 内容 |
---|---|
0 | Undocumented. First Boot Flag (0=First, 1=Further) |
1-7 | Undocumented. Not used. |
通常、デバッグハンドラは、カートリッジヘッダでデバッグフラグを検出しない限り制御を受け付けませんが、その場合は、(任天堂ロゴとブート遅延を省略することで) 簡略化されたブート処理へとリダイレクトします
しかし、このレジスタを自動的にリセットせずにGBAを外部からリセットすることは可能なのかどうかはわかりません。
このレジスタに書き込みを行うことでGBAは省電力モードに移行します。
Haltモードでは、IE & IF = 0
の限りCPUが停止し続けます。 これはCPUが割り込みを待つ間に電力消費を抑えるために使われます。
省電力モードは、サウンドや画面を含めたほとんどのハードウェアが停止します。
bit | 内容 |
---|---|
0-6 | 未使用 |
7 | 省電力モード (0=Halt, 1=Stop) |
基本的に、このレジスタに直接書き込むよりも BIOS関数 SWI2(Halt) または SWI3(Stop) を使用することが一般的に推奨されます。
BIOSはこのアドレスに0xFFを書き込みますが目的は不明です。
おそらくBIOSのバグでしょう。
ハードウェアによって0x0D00_0020
で初期化されます。
他のIOレジスタと違って、このレジスタはIOレジスタ用のメモリ領域にミラーされます。(ここから0x0001_0000刻み。 つまり0x0400_0800, 0x0401_0800, 0x0402_0800, ..., 0x04FF_0800)
bit | 内容 |
---|---|
0 | Disable 32K+256K WRAM (0=Normal, 1=Disable) (when off: empty/prefetch) |
1-3 | 用途不明 (Read/Write-able) |
4 | 用途不明 (Always zero, not used or write only) |
5 | EWRAM有効化フラグ (0=無効, 1=有効) (無効化するとIWRAMのミラー) |
6-23 | 用途不明 (Always zero, not used or write only) |
24-27 | EWRAMのWaitstate (0-14 = 15..1 Waitstates, 15=Lockup) |
28-31 | 用途不明 (Read/Write-able) |
bit24-27にはデフォルトで13(0x0D)が入っていてWaitstateが2になるようになっています。 つまり 8/16/32bitアクセスに要するクロックサイクルは 3/3/6となります。
bit24-27を14(0x0E)にせっていすればWaitStateは1なので、8/16/32bitアクセスに要するクロックサイクルは 2/2/4 となり最も高速にアクセスできます。(いわゆる、EWRAMのオーバークロック)
EWRAMのオーバークロックはGBAとGBASPでは可能ですがゲームボーイミクロでは不可能です。
(おそらく)ゲームボーイミクロのEWRAMはGBAやGBASPのものよりもアクセス速度が遅い、つまりメモリ操作を完了するまでにかかる時間が長いため、EWRAMにアクセスする際にゲームボーイミクロが待つ時間(Waitstate)を減らしてしまうとまだメモリ操作が完了していないということでしょう。
実際にEWRAMのオーバークロックが可能かをチェックする際は、オーバークロック後にEWRAMに書き込んだデータを読み出してみて、書き込んだデータと読み出したデータが一致するかどうかを確認するという手法がよく使われます。